音楽な人・小川真一さん 4/4

更新日:2021年5月20日

まちに関わる○○な人に豊橋まちなか会議事務局がインタビューして○○を深堀する「となりの“まちびと”たち」をお届けいたします。
今回は音楽な人ということで、水上ビルでレコード店「ラビットフット・レコード」を経営されていた音楽評論家の小川真一さんです。FMヤシの実の「ラビットアワー」(毎週木曜18時~)で共演している竹内竹蔵さんと一緒にお話ししてくださりました!(取材日 2020.11.16)

No.2 音楽評論家 小川真一さん
音楽評論家。ミュージック・マガジン誌、レコード・コレクターズ誌、ギター・マガジン誌、ロック画報などに寄稿。共著に『日本のフォーク完全読本』(シンコーミュージック・エンタテイメント)『ジェネレーションF 熱狂の70年代×フォーク』(桜桃書房)ほか多数。最新刊は「フォークソングが教えてくれた」(マイナビ新書刊)。1979年から豊橋にてレコード店「ラビットフット・レコード」を経営(2003年閉店)

第4回 かっこいいの定義

竹内さん 小川さんと番組を一緒にやっていて、“小川チルドレン”と呼びたくなるような人がよくゲストに来てくれるんですよ。かつてラビット・フットで働いていた人とか、コアなお客さんだった人とか。どこか共通点があるような気がするんですが…

小川さん 自分ではよく判らないんだけど、変な人がより集まってる?(笑) ラビットフット・レコードをやっていた当時も今も、店の理念とか哲学を語ったりするは大嫌いなんです。自分が欲しいものは他の人も欲しいだろう、そういう単純なスタンスですから。店のスタッフやお客さんも、そういった部分が伝染した人がいるかもしれないです。

竹内さん さっきのハブの話に戻るけど、今はあっても使いこなせないかもしれない。それをどうしたらかっこよく使えるかっていう、その感覚が必要だと思います。

小川さん 豊橋の70年代初頭で言えば「グロッタ」がそういう意味で学校のような存在だったんですけど、親切に教えてくれるわけではないです。「お前そんなことも知らんのか」で終わり。だから、そこから先は自分で考えるしかない。音楽に限らず、映画とか演劇とか文学とか、その周辺の文化も知ってないといけない。なかなか厳しかったですよ。

竹内さん 当時はその感覚はすごくあったと思います。サブカルチャーとは、カルチャーなのです。メインが判らないとサブが理解出来ない。メインがあってこそサブがある。

小川さん サブカルチャーにはオリジンがあって、その引用元が分からないと、全然面白くない。これは「グロッタ」で散々仕込まれました。

竹内さん 当時の感覚では、「サブしか知らない」「元ネタ知らない」、それが格好悪かったんですよね。

事務局O ところで不思議に思うのですけど、知識を広く深くカバーしている方が、私の周りでは今の50代くらいから上の方に多いなぁと感じていまして、その年代から若くなるにつれてその意識がだんだん弱くなってきているなっていう感覚を持っています。なんでなのかなという疑問がありますが、今の話と関係があるのでしょうか?

小川さん 僕たちのもう一個前の世代、60年代が青春だった人たちは、そうした厳しさを持っていました。ちゃらんぽらんにやっているようで、ちゃんと自分の哲学を持っているとか。そういう事が時代とともにだんだん薄まってきて、こうなったのではないでしょうか。当時の僕も、本読む量と映画見る量は半端なかったですよ。本がだいたい単行本で一日一冊のペース。映画は年間平均200本は見ていた。それでやっと先輩たちに追いつくくらい。

僕の音楽の知識というのはものすごいんですよ。こういうとすごく嫌みったらしく聞こえるけど(笑)。英文のものを含めて、資料は山のように読んでいます。一般の人とは、この部分で相当の差があると思います。
これはラビットフット・レコードやっていた時の話なのですけど、お客さんに「このレコードありますか?」と聞かれたとして、自分があまり詳しくないジャンルであってもわかるんですよ。音楽の成り立ちとか、歴史的な関係がわかれば、それがどういう音楽なのか推測できる。この推測が大事だと思います。

それから、音楽に関して書いたり喋ったりする時に一番やってはいけない事って「啓蒙」だと思います。「これは世間では知られていないけれど、すごくいい音楽で…」とか語るのは愚の骨頂。実はその世間を甘く見ている証拠になってしまいます。「啓蒙」というのは、自分の無知さをさらけ出す行為なのです。

人を啓蒙するよりも、自分で新しいことを知るほうが断然面白い。調べていくと繋がりが見えてくるんですよ。ものすごく遠くにあったものと近くのものが一瞬にして繋がったり。これはとても刺激的ですね。

竹内さん たまにラジオ番組で、小川さんよりあるジャンルの知識の豊富な人がゲストで来てくれることがあるんだけど、その時は面白くて、小川さんは番組の進行を忘れて話に聞きいってる(笑)。小川さんも聞くんだなと思った。

小川さん そうやってインプットしないと、新しいものが入ってこないから。だからHIPHOPも聴くしプログレも聴くし、何でも聴きますよ。聴くというより受け入れます。

竹内さん 多分ですが、この小川さんたちの世代が、いまの豊橋のカルチャーの大筋を作ったんじゃないでしょうか。そこから細分化したり変化はあるけど、ベーシックなところはそうだと思いますよ。

事務局O 少し気になっているところがあって、「グロッタ」とラビットフット・レコードあたりが当時から続く豊橋まちなかのカルチャーの繋がりの根源にあるような印象を受けているのですね。そこから、どこに繋がりがあるのか見えてこないんですが・・・

小川さん それは地政学的なことで?

事務局O 人的というか…あの人が独立して、こんなことをやって今こうなっている、この店で、とか

小川さん そういうリレーションはあまり気にしてないです。結局のところ、個人は個人ですから。どこかの店にいたから、その理念を受け継いだとか、そういった話はまるで信用してないです。
ただ、ラビットフットや「グロッタ」のあった水上ビル周辺は、なにかを感じますね(笑)。何か面白いものが出てきそうな雰囲気がある。注目に値します。

小川さん 最後に、豊橋で気になっているイヴェントにとよはしまちなかスロータウン映画祭があります。実は僕もアドバイザーのひとりに名を連ねているのですが、このイベントはこれからもっともっと特異性をだしてくれることに期待しています。
湯布院や夕張の映画祭がなぜすごいかというと、独自の企画があって、ほかのところが絶対やらないような事をやっているからなんです。それに負けない映画祭になってほしいと思います。その独自性がないと、全国への発信にはならないと思います。

事務局K 長い時間、とても面白い話を伺えて非常に有意義でした。ありがとうございました!

(第4回 かっこいいの定義 終了)

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