音楽な人・小川真一さん 3/4

更新日:2021年4月20日

まちに関わる○○な人に豊橋まちなか会議事務局がインタビューして○○を深堀する「となりの“まちびと”たち」をお届けいたします。
今回は音楽な人ということで、水上ビルでレコード店「ラビットフット・レコード」を経営されていた音楽評論家の小川真一さんです。FMヤシの実の「ラビットアワー」(毎週木曜18時~)で共演している竹内竹蔵さんと一緒にお話ししてくださりました!(取材日 2020.11.16)

No.2 音楽評論家 小川真一さん
音楽評論家。ミュージック・マガジン誌、レコード・コレクターズ誌、ギター・マガジン誌、ロック画報などに寄稿。共著に『日本のフォーク完全読本』(シンコーミュージック・エンタテイメント)『ジェネレーションF 熱狂の70年代×フォーク』(桜桃書房)ほか多数。最新刊は「フォークソングが教えてくれた」(マイナビ新書刊)。1979年から豊橋にてレコード店「ラビットフット・レコード」を経営(2003年閉店)

第3回 豊橋にいるワケ

事務局O さきほどからお話を聞いていると、小川さんが豊橋にいるのをすごく不思議に感じます。文化を大切にする方って割と東京へ早い、若い段階から出るっていう意識になる人が多いと思いますが、ずっと豊橋で活動されていますよね?

小川さん ずっと豊橋在住です。

事務局O 何か理由はあるのでしょうか?

小川さん ないです(笑)

事務局O 今も豊橋ですよね?

小川さん はい、豊橋は住みやすいところです。今の仕事を考えても、ネットがあって電子メールでのやりとりさえ出来れば、どこでも大丈夫です。
庭に2トンのコンテナが置いてあり、それを物置代わりにして資料を詰め込んでいるんですが、こんなことも地代を考えたら東京では難しいですよね。その意味で豊橋はいいところです。

資料のことで少し話すと、物量は正義なんですよ。例えばザ・ビートルズの『アビーロード』というアルバムがあります。高い値段のついた初版盤はお金出せば買えるものだから、僕の視点ではあまり意味をもたない。でも仮に、同じ『アビーロード』というアルバムを1000枚集めたとします。そうするとそこに発見があるんですよ、だれも発見していないかもしれない発見が。これは民俗学的なフィールドワークに近いんですけど、物証的に大量のものを追っていくと違うものが見えたりするんですよ。でもまあ、普通はやりませんよね、同じアルバムを何枚も買ったりとか。

竹内さん そんな発想もないですよね。

小川さん 僕は歌謡曲のシングル盤を、多分10万枚分は見てるんですよ。持っているのではなく見ている。これは全然違います。「これはある(売れていた)、これはあまりない(出回った数が少ない)」というのが体感的に判る。内容の出来不出来ではなく、付加的な価値があるかどうかでもなく、物の量として市場にどれだけあるか、それが判る。そういう感覚でレコードを見ている人は少ないと思いますが(笑)。

事務局K 本日一番お聞きしたかったのは、豊橋で活動しているのは何か理由があるんだろう?ということがとても関心ごとだったので、今のお話聞いて、あ、なるほどと腑に落ちました。

小川さん 豊橋は、仕事や生活をするのに困る街ではないと言うことですね。ライブハウスはある、映画館もある、名古屋に行くのにそれほどの時間がかからない。というのが理由です。それに僕は、豊橋のまちなかに来るのがすごく好きです。

事務局O 具体的になぜですか?

小川さん かつての(30年以上前の)休日の過ごし方になるのですが、まず精文館書店に行きます。精文館ってすごい本屋なんですよ。あれだけのグレードを保っている書店っていうのはなかなか見当たりません。行くとだいたい手提げ袋二つ分くらいは買ってしまう。その後、それを小脇に抱えてときわ通りを抜けて、「喫茶フォルム」へ行く。そこでコーヒーを飲みながら買った本を眺める。これはもう至福の時間ですよね(笑)。
さらに時間があれば、かつての松竹会館(映画館)へ行って映画を見る。それから丸物百貨店(のちの西武百貨店、現在のココラ・フロントの場所)の上の階に映画館があって、そこに行くとか。お腹が空けば、東京庵で煮かけうどんを食べる。宝来亭に行ってカツ・ライスを食べる。そういった時間の過ごし方をしていました。

今思い出したんですけど、当時豊橋のまちなかには特徴のある喫茶店が沢山ありました。「フォルム」があって、駅前大通り沿いに「喫茶ベルグ」という「フォルム」と同じような雰囲気の店があって、「明治」というレトロな喫茶店があって。市電を渡って少し行ったところには「バロック」があった。どれもいい喫茶店でした。何が共通しているかというと、余分なものがなくて、通路が広くて、勝手に落ち着ける。

豊橋の喫茶店文化の研究をやっているのですけど、豊橋のまちなかには、その時代時代にキーとなるお店があるんですよ。60年代には広小路通りの端に「くろんぼ」という名前の店があって、そこに豊橋の文化人が集まっていたというし、開発ビルの裏手には「どん底」っていう飲み屋があって…

事務局O すごい名前ですね…

小川さん 「どん底」って聞いて、ゴーリキーの名前が思い浮かばないとだめなんですよ(笑)。当然ながらロシア文学が背景になっているんだから。

竹内さん その辺の洒落が分かるかどうかですよね。…僕は今分かんなかったけど。

事務局O 難しい…。

(第3回 豊橋にいるワケ 終了)

ニュース
カテゴリー
News Archives
  • 2021年5月
  • 2021年4月
  • 2021年3月
  • 2021年2月
  • 2021年1月
  • 2020年12月
PAGETOP