アートな人・山田晋平さん 3/3

更新日:2020年11月20日

まちに関わる○○な人に豊橋まちなか会議事務局がインタビューして○○を深堀する「となりの“まちびと”たち」をお届けいたします。
1人目は、アートな人ということで、水上ビルの自宅兼アトリエ「冷や水」を拠点に活躍されている舞台映像作家の山田晋平さん。今回は「第3回 「冷や水」と豊橋まちなかについて」お届けします。(取材日2020.9.4)

No.1 映像作家 山田晋平さん
舞台映像作家。1979年生まれ。京都造形芸術大学卒業。
演劇やコンテンポラリーダンスを中心に、様々な舞台芸術の上演内で使用される演出映像の制作が専門。2013年から愛知大学文学部メディア芸術専攻准教授。2020年3月に退職。4月より水上ビルにアトリエ兼住居「冷や水」(豊橋まちなか会議/まちじゅうステージプロジェクト)をオープンした。

第3回 「冷や水」と豊橋まちなかについて

事務局K  さて、「冷や水」に関して質問したいのですが、実際に「冷や水」をオープンしてみて想像していたことと違ったり、コロナの影響を受けているなと感じたりすることはありましたか?

山田さん そう感じることは特にありませんでした。コロナ禍でも今(取材日:2020.9.4)は一時期を過ぎて仕事が戻ってきたな、という感じはあります。9月は東京でも仕事がありましたし、でもそのおかげで、豊橋でやりたい芸術普及活動を行う時間と体力を捻出することが今は大変です(笑)

事務局O 二足のわらじ状態ですね(笑)

山田さん そうですね。今は周りのみんなの協力がないとまわらない状態で、日々忙しいですが、ありがたいことに「冷や水」という場所は、コロナ禍の影響を受けることなく様々な人と交流する機会を得ることができています。

ここをオープンさせて面白かったことがあります。穂の国とよはし芸術劇場PLAT(以下:プラット)には豊橋以外からいろんなアーティストがいらっしゃるのですが、その際にプラットの方がその方たちをこの「冷や水」に連れてきてくれるんです。この前冷や水にいらした長野県の演出家の方も、僕と面識はありませんでしたが、たまたま僕の作品を見ていてくれていたから、「あ、あの山田さんね」って繋がったみたいです(笑)。
だから「冷や水」が今ではプラットにくるアーティストにとってある種の観光名所のようになっています。そのおかげで僕は豊橋(冷や水)にいながら全国のアーティストにお会いできるんです。

ところでプラットといえば、この地域におけるプラットの存在は大きいと思います。東京・豊橋・九州とかの公演だと関西から豊橋に見に来ますからね。豊橋市の他の施設ともあわせていろいろできればいいなと思っています。

事務局K  「冷や水」はみなさんの協力によって完成されたとのことですが、そもそも自分で作り始めようとしたきっかけは何だったのでしょうか。

山田さん もともと、リノベーションにお金をかけたくなかったんです。DIYが好きというよりは、背に腹を変えることはできなかったのでやったというところが正直なところです。映像の仕事でもペンキを使ったり、小道具を作ったりすることがあったので、その延長で自分でやろうと思いました。

スケジュールとしては大学が終わった今年の4月の1か月間はまるまる仕事を入れずに「冷や水」つくりを行おうと計画しました。そしたらコロナ禍になっちゃって…、そして偶然周りの人々もヒマになって、そのおかげで、様々な方々がここを手伝ってくださり、かかわりを持つことになりました。ほんと偶然ですね。

例えば、先述のプラットがコロナの流行によって公演できなくなり、時間ができたプラットの職員である友人たちが手伝いに来てくれたり、また1Fの本棚を作ってくれた現代美術の専門家である友人も、「冷や水」の工事風景の記録を日々Facebookで上げているのを見てくれて、ある日「すごい面白そうだし、今時間があるから手伝いに行きたいんですけど…」と連絡をくれて。もう「すぐ来てください!」って言いました。その方は本当スーパーマンみたいな方で、僕の作業の100倍くらいのスピード感で動く方で、この二階の床のアクリルの仕上げを提案してくれて、「それはいい!」って即決です(笑)。そういう方々が突如として現れて、うれしかったですし、だからこそ「冷や水」はみんなの協力によって完成されたと感じています。

あとFacebookやっててよかったって思いました(笑)。発信って大事だなぁと改めて感じています。発信を受け止めた方たちが共感して自ら見にきてくれました。

事務局K 事務局O (しみじみ)発信って大事ですね~

山田さん 面白いことは、知ってもらわないと来てもらえないので、気付いてもらわないと駄目だと気付きました。

事務局K 「冷や水」で一番こだわった点はどこでしょうか?

山田さん リノベーションの設計をしてもらった黒野さんとも、どこをどう改装しようかということを一緒に考えていた中で、やはり2Fにこのキッチンが来たってことは大きかったです。

僕は料理が好きで、家に遊びに来た方たちに料理をふるまったり、お酒と一緒に囲むのが好きだったので、そういう事ができるようになったらいいなと周囲に打ち明けたら(キッチンを)サーラさんから提供していただけるということになって、これをベースに改装していくことを決めました。
もともとこの2階のスペースは和室で、このまま使おうと思っていたんですが、ある日黒野さん(黒野 有一郎/建築家、大豊協同組合代表理事、豊橋まちなか会議副会長)が、「山田君にピッタリのこのキッチンが来るから二階は壊します」って言ってくれました(笑)。

その結果ですが二階がこういう大きなダイニングになっているという事は「冷や水」の大きな特徴であり、ここまで土足で上がってこれて、人が来やすい作りにしたのはこだわった点ですね。結果的にパブリックのスペースが多くなって3Fしか僕のプライバシーの部屋はありませんが、それでもとっても良かったと思います。
それが皆さんが集まってくる理由かなと思います。

事務局K キッチンの導入と豊橋まちなか会議のつながりを教えて下さい。

事務局O これはですね、まちじゅうステージのリノベーションプロジェクトの木村さんのイベントでたまたまサーラの方が来ていて、企画している内容によってはキッチンなどの建具を一部協力できるかも、と話をしていたのを黒野さんが覚えてくれていたんです。それを思い出したのだと思います。

事務局K これがなかったらここは和室だったんですよね。

山田さん そうです。ここがキッチンになってよかった(笑)

事務局O よかったっていうPRをしておくと、また次があるかも(笑)

山田さん あっ、僕冷蔵庫が欲しいんですよ。誰かくれないかなぁ。

事務局K …他に改造したいところはありますか?

山田さん ちょくちょく手を入れたいところはありますが、機能としては、ほぼ完成です。

事務局K なんでこんなにかっこよくなっちゃうんでしょう??

山田さん …大胆な事を選択するとできます。振り切ってみてください(笑)僕は「なんとなくグレーだと無難だよね」っていう選択の仕方をしたくありませんでした。

事務局K なるほど。そんな山田さんのリノベーションをみて興味を持った方や、豊橋を拠点に芸術活動をする方とか、そういった方へのアドバイスはありませんか?

山田さん やっぱり水上ビルに関していうと建物が面白いと思うんですよね。こんな三階建てのビル全国で見たことありませんし、かなり使い勝手のいいサイズです。楽しんで家つくりをすると楽しめる物件だと思いますというのが一つ。
あとアドバイスはパッと思い浮かばないですが、うちをどうぞ見に来てください。こんな風に住むことができますよっていう事はお見せできます。ここはこのビルを訪れる方々に常に開いていたいと思います。それが(キッチンを頂いたり協力を頂いた)僕の出来る恩返しだと思います。
…なので、僕がいかにここで楽しく暮らすかという事と、それをいかに発信するかという事が大事なのでそれを一生懸命やろうと思っています。

事務局K 活動の発信はどうやっているんですか?

山田さん 自分のHPは持っていますが、もう少しやらなくてはと思っています。「月イチ 水あび」などは会場の屋上に行くときにかならずこの2Fを通りますので、よいPRになるんじゃないかなと思います。
友達が来るのもうれしいですが、もう少し外の広がりがないとそれ以上繋がったりしませんから、そのことをどうやってできるか考えて頑張りたいと思います。
この「冷や水」がオープンした時に、つながるマーケットに合わせてオープンハウスをやったんですが、DIY風景の写真や映像を用意して、係員も用意してやったら二日間で200人の方々が来てくれたんですよ。みんなおもしろいって言ってくれて、うれしかったです。そういう事が発信だと思うので、どんどん発信していかなくては。と思っています。

事務局O 山田さんの中では“まち”という言葉についてどう思いますか?

山田さん “まち”って作ろうと思って作るものではないと思います。都市計画とかはあるでしょうが、僕のような「住んでいる者」からすると、“まち”っていうのはだんだんできていくもので、例えば僕が住むことによって芸術のきっかけが増えたとします。それで芸術に興味を持つ人が増えていくっていう事が、“まち”づくりの視点からみたら、“まち”ができていくってことになるんでしょう。

そしてそういう貢献を僕はしたいと思っています。僕がやりたい事は、“まち”づくりではなく芸術の種をまくこと。そしてそれを育てること。それは見る人が見れば“まち”づくりに貢献しているときっと言ってくれるだろうと思います。そういう自分でできる社会貢献をする人が増えていったらきっと“まち”はいい感じに作られていきますよね。

あとは“まち”づくりをする側の人たちが社会貢献する人たちを見て、フレームを作ったりすることや、あるいはこの“まち”にはこういうフレームが足りないという事を発見していただいて、それができる人を探したり、連れてきたりすることが大事だと思います。

みんな何かの専門家として生きていて、その専門性が“まち”づくりに活かせるなんて中々わからないのではないかと思います。でも、「あなたの専門性はこういう風に社会貢献に応用することができますよ」「あなたにやってもらいたいと思っているんですよ」と言えることが、“まち”づくりに携わっている人たちができることだと思うんですよね。

そうすることで、「自分はただの職人だったけど社会貢献できるのか!」って新たな気づきになり、その結果実際に社会のなかで評価されたらその人もうれしいですよね。自主的にやれる人はもちろん素晴らしいと思いますが、やりたくてもやり方が分からないとか、それが必要だと思わずに生きている人もたくさんいて、そういう人たちの力を引き出すことは“まち”づくりの人たちはできるんじゃないか。そういうことを期待しています。

そういう意味では僕も使われたいと考えています。何かこういう社会貢献してもらえませんか?って言われたら関わりやすいです。

事務局K 最後に夢は何ですか?人生の目標がありましたら、最後にバーンと行きたいんですが。

山田さん バーンですか(笑)

事務局K はい。お酒の席かこういう時でないと聞けないのでぜひお願いします。

山田さん リアルな夢はですね、この「冷や水」を従業員3人くらいの会社組織にしたいです。そうすると地域のあるいは外に出ていく仕事ができると思うからです。社長になりたいわけじゃないですよ(笑)。ビジョン的な事で言うと、今よりも多くの人が芸術を愛するようになったらいいなと思っています。芸術がもっと多くの人に愛されるようになったらいいと思います。

(第3回 「冷や水」と豊橋まちなかについて 終了)

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